'10/12/20 : 降水量 35 ml ~ 12月の読み物 ②ライトノベル文学論
今月読んだ本の中から二冊目の紹介。榎本秋著「ライトノベル文学論」。
最近随分と耳にする機会の増えた、ライトノベルというやつ。
大型書店なんかをうろついていると、やたら表紙に萌え系のイラストが描かれた本ばかり並ぶ棚があるが、きっとあれらがそうなのだろう。
これがボクの持っていたライトノベルに関する知識のすべてである。
売り上げが伸びず不調な出版業界のなかで、元気がよさそうなライトノベルとはどんなものなのか?
他にも読みたい本は沢山あるから、ライトノベル自体を読む時間はないけども、どんなものなのかは気になる。
そういう我儘この上ない知的好奇心を満足させるために手に取ったのがこの本であった。
要は、「ライトノベルとはなんぞや? 」ということについて書かれた評論なのである。
なのだが、まず一言言わせてもらいたいのは、とにかく誤字脱字が多い。
漢字の誤変換、日本語の誤用のオンパレード。
作者も作者だが編集者だっているんだろう? プロのくせにどういう仕事してるわけ?
一番酷かったのは、
「その手法がしばしばライトノベルに酷似することからここであるかった」
という一文。もはや何を書いているのかわからない。
ライトノベル自体についても、
ごく一部を除き、とにかく読みやすさを重視して書かれるもの。
出来る限り会話以外の地の文を減らし、一文一文を短くする。
場合によってはページの下半分はなるべく文章を書かず、いわば一種の斜め読みを可能にする。
なぜならライトノベルの読者は文字を読んでも情景が浮かばず、苦痛であり、ストレスを感じるからだそうだ。
(繰り返すが最近はそうでないものもあるらしい)。
正直に言わせてもらえば、まったく理解できない。
文字を追うのが苦痛ならなんで本を読むわけ?
読者はもちろん消費者であるけれども、作者はそこまで読者に譲歩してまで読んでもらわなくてはならないのか?
軽い読み物といえば東野圭吾や伊坂幸太郎を指し、重い読み物といえばドストエフスキーなんかの超古典(という言い方は多分しない)を指すボクにとっては本当に理解の及ばない世界である。