'10/12/24 : 降水量 36 ml ~ 小さな反乱分子 1/2
四月が始まってやっと大学院生になったと思ったら、あと一週間で今年が終わってしまう。
毎日毎日暑い暑いと言っていたはずが、いまやコート無しでは過ごせない気温である。思えば
今年は夏と冬以外の季節がずいぶんと短かった気がする。これでは四季ではなく二季ではな
いか。過ごしやすい春と秋が長くなってくれたほうが、暑さ寒さに弱いオジサンは嬉しいです。
とか書いていたら、たった今テレビで水道凍結注意のテロップが流れた。温暖な地域に住んで
いる方には馴染みがないかもしれないけれど、北海道なんかの寒い地方では、夜間気温が非常に
下がる日には水道管内の水を抜いてやらなくてはならない。これを怠ると水道管の中に残った
水が凍り、増えた体積に管が耐えられなくなって破裂してしまうのである。当然朝になって
氷が融ければ止め処なく水が流れるし、修理費は請求されるしで大変な事態になってしまう。
それほどまでに寒い寒い外を歩いてやっと家に辿り着くと、この時期やっぱり嬉しいのは
温かいお湯を満々と湛えた湯船の存在である。芯まで冷え切った身体をほっかほかに温めて
くれる救世主。そんな我が家の湯船に異常が生じたのは昨日のことであった。
「今日は半身浴だから」
部屋でごろごろしているボクの頭の上で、妹がそう言い放った。詳しく聞いてみると湯船に
お湯が半分しか溜まらないのだという。ボタンを押せば湯船一杯分のお湯が出るはずなのに、
ドアを開けてみたらどうにも足りない。そのうち修理を頼むと言うので、
「ふうん」
とか適当な返事をしておいた。そして夕食を食べ、さあ風呂に入ろうと服を脱いで洗い場に
立つと、ボクの目の前にあったのは数センチしかお湯のない湯船であった。ご存知の方も多いか
と思うが、ボクは非常に目が悪い。以前にも洗い場の隅に、両手に余るほど大きなイカがいる
ように見えたことがあった。そのイカらしき物体と素っ裸のまま数十秒にらみ合った挙句、
勇気を振り絞って摘み上げてみたら、なんとそれは白い雑巾であった。自宅の風呂。素っ裸で
ファイティングポーズをとる二十四歳の男性。そしてその視線の先にあるのはただの雑巾。
はっきり言って馬鹿である。
(続く)