12/03/11 : 降水量 50 ml ~ 三枚目の魅力

 グリッソムが辞めた。

 いきなりなんのこっちゃわからないかもしれないが、CSIという海外ドラマの

話である。放送されるやいなやアメリカでは社会現象となり、科学捜査班の

名称がCSIに変更までされてしまった人気ドラマなのでご存知の方が多いだろう。

現在AXNというケーブルテレビ局ではシーズン9が放送中なのだが、シーズン1

からチームのボスを務めてきたギル・グリッソムが昨シーズンを最後に辞めて

しまったのである。

 CSIには別のシリーズが二つあって、それぞれネバダ州、フロリダ州

ニューヨーク州を舞台にしている。フロリダでチームを率いるのは元爆発物処理班の

ホレイショ・ケイン。ニューヨークでは元海兵隊のマック・テイラーである。二人は

まさにアメリカン・ヒーローの王道を地で行く人物だ。銃を手にし、危険の中に

真っ先に飛び込んで行く。強く、格好良く、女性にモテる。この中でグリッソムは

他の2シリーズの主人公とはやや趣が異なる。彼は昆虫を専門とする科学者で

どちらかといえば冴えなく、変人の気がある。想ってくれる女性もいるが他の

二人ほどではない。腕っ節は強くないし、8シーズンの中でも銃を撃っている

ところはほとんど記憶にない。それでもボクはグリッソムが好きだったし、

他にもそういう人は沢山いたはずだ。でなければ人気シリーズで8年にも渡って

主演を務めることなんてできないだろう。

 ボクにはグリッソムが愛されるのと、大泉洋が愛されるのは根本が同じである

ように思えてならない。確かにホレイショもマックも格好いいし、嵐の松潤も小泉

孝太郎も格好いい。それは間違いない。けれど世間一般の大多数の人間は

ホレイショや松潤にはなれない。もちろんグリッソムにも大泉洋にもなれない

のだが、どちらかと言えば彼らの方に親近感を感じるはずである。この頑張れば

なれそうかな、というところも彼らの魅力の一つである。そして、

「普段は冴えないのに実は凄い」

「いつもは情けないけど、いざというときはやる」

 そういうところに、

「実は俺だってやるときゃやるのだ!」

 と、ボクを始めとするあまり冴えない一般人は感情移入しやすいと思うのだが、

皆さんいかがだろうか。

(オワリ)