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12/05/27 : 降水量 51 ml ~ アゼルバイジャンより愛を込めて

 拝啓。暑かったり寒かったりと、安定しない天気が続きます。巷では治るのに

二週間を要するという厄介な風邪が流行ったりもしておりますが、皆さん体調は

いかが?

 あっという間に五月も末になり、六月の背中がすぐ目の前。手を伸ばせば

毛むくじゃらの尻尾くらいは掴めそうです。嫌だ嫌だと言いながらも、働きはじめて

二ヶ月が経ちました。日々の仕事に楽しみを見出だせている人々は本当に凄い。

私はひとつも楽しくありません。必死になって目の前の仕事と殴り合いの死闘を

繰り広げ、失敗してはべこべこに凹み、業務後は教科書や論文をちくちくとつつき

回すうちに一日は終わります。楽しみなどどこにもない。働く喜びとはどこにある

のか! 隠れてないで出てこい! 市中引き回しの上、打ち首にしてくれるっ!

 取り乱しました。すみません。

 こんな厚顔不遜で生意気で、身の程知らずの私にも、検査室の先輩方は

皆さん大変優しい(全部似たような意味ですね。三重表現かしらん?)。物覚えの

悪い私に仕事を何度も教えてくれます。懇切丁寧。中には私を玩具にしてくる先輩

もいますが、別に嫌ではありません。それはそれで楽しいですよ。

「研究で成果を残し、いつか一旗掲げてやるのだ!」

 そんな野望を内に秘め、ときにだだ漏らしながら忙しい日々を送っております。

 そういえば昨晩はおかしな夢を見ました。ついに仕事が嫌になってしまった私は、

ろくに荷物も持たずふらふらと家を出たのです。特にどこへ行こうと決めてあった

わけではありません。自分自身、

「どこへ行くのかしらん?」

 などと考えていた節すらありました。自分の足で歩いているのに、暢気なものです。

そんな私は列車に乗り、気付けば見たこともない街角に立っておりました。背後の

建物には、

アゼルバイジャン

 の文字。思い返せば飛行機に乗ったような気もする。アゼルバイジャンという国の

ことはよくわからないけれど、恐らく公用語に片仮名は含まれまい。何しろどこに

あるのかも知らない国であるからして、その街並はヨーロッパと中近東と、昔行った

熱海を足して割ったような、それはもうごった煮的なものでした。しかし驚いたことに、

そんな見知らぬ土地で私を迎えに来てくれる人がいたのです。彼は小学生のころ

から付き合いのある友人でした。北海道のスーパー田舎(本人談)で教師をして

いるはずの彼がなぜここに? という疑問は、夢の中では浮かばない。その上

彼が借りているという部屋に案内されてみると、そこは子供のころから何度も行った

祖父母の家そのもので、私をさらに困惑の淵へと突き落とす。月日を経てぺらぺらに

なった座布団の上に胡座をかき、一応家にだけ連絡をしようとするのだが、

「そういえば携帯を海外で使えるよう手続きをしてこなかった」

 とか考える。これだけ支離滅裂な夢の中で、妙に現実的なところが私らしいと

いえば私らしい。結局、

「二、三日で帰るから。え? 今どこかって? アゼルバイジャン

 というとても異国の地からするとは思えない連絡を、ネットを介して入れたのでした。

 その後は隣の部屋に住むという漫画好きのアゼルバイジャン人青年と仲良くなり、

「俺は日本代表の選手だから、今度の遠征のときに日本の漫画を買ってきてあげる」

 などとうそぶき、夢はさらに混迷を極めていく。

 朝を迎えて目覚めた私は、ああ夢だったのかと思いつつ、あまり逃げ出したいと

考えるものでもないな、などと半分眠ったままの頭で考えるのでした。

 つかの間の休日ももう終わり。もう一晩眠れば、明日からはまた仕事が始まります。

本当にふらりとアゼルバイジャンへ行ってしまわないよう、しっかり頑張らねば。

 早々頓首

 社会人選手権二ラウンドKO寸前の私より

                      社会人選手権フェザー級チャンピオンの皆さんへ

 追伸

 アゼルバイジャンとはトルコのすぐ東に位置する国のようです。区分的には

西アジアだとか。いつか行ってみたいものですね。