読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

13/03/25 : 降水量 57 ml 卒業する友人への手紙

エッセイ

 拝啓。あっという間に年度末。私は度々の飲み会で胃の調子がよろしくないのですが、

皆さんは如何?

 今からちょうど1年前、私は皆の笑顔に送られて大学院を卒業しました。出て行く人間より

残る方が多く、後ろ髪を引かれる思いで社会人としての一歩を踏み出したのでした。

私の毛根がもう少し軟弱だったら、後頭部に大きなハゲができたことでしょう。本来であれば

1年先輩という立場で余裕を持ち、

「良く来たな!」

 なんてコーラの一気飲みでも披露すべきところなのだろうが、一向にそんな気分にはならない。

 実は先日、研究室に置いてあった三脚を回収しに行ったついでに、皆が荷物を引き上げた

院生室を覗いてきました。机すらもなくなった部屋は広かった。がらんとした部屋に一人で

立っていると、この院生室に引っ越したのことが脳裏に浮かびました。あの日も部屋は空っぽ

でした。床を洗い、窓を拭き、洗面台を磨いて机を運ぶ。これから始まる日々が楽しみで仕方

なかった。そして事実楽しすぎる時間が私を待っていたのです。あの時、同じ面積なのに広さを

感じなかったのは、きっと一人ではなかったからでしょう。もう仕事帰りに大学に寄っても、

笑い転げて過ごした院生室はないのだ。そう思うと寂しくてなりません。

「バッカだなあ。その年で変化を嫌ってどーすんの」

 そう言ったのはハチミツとクローバーの花本先生でした。友達がみんな卒業していって、

それでもあまり日常が変わらず、ホッとしたと笑う竹本くんに先生がかけた言葉です。

ずっと変わらずにはいられない、そんなことは重々承知していますが、それでもこの日々が続けば

と願ってしまうのです。

 就職して1年、忙しいと言い訳をしながらずいぶん多くの時間を無駄にしてきました。もっと

勉強する時間があったはずです。今のままではこの先皆と再会したとき、胸を張って笑えない。

いつの日か、何か一緒に仕事ができるように、それに相応しい実力を着けるべく頑張ります。

                                      早々頓首

社会へ旅立つ友人たちへ

                               社会でつまずく友人より

追伸

忘れるところでしたが、卒業おめでとうございます。

皆のこれからの人生が順風満帆でありますように。