降水量59mL~余市ハードルアー縛り?でソイ

「さあ行くぞ!」

時計の針が5時を回り、土曜勤務が終了すると同時にオズ氏は拳を振り上げた。

今月の初めに久しぶりの釣行へ行ってからというもの、オズ氏の体内では釣り熱が再燃している。

すっかり燻り、消えかけていた釣りへの気持ちが、今やめらめらと音を立て、その身を焦がさんばかりである。

そういうわけで車を走らせること2時間強、我々一行は余市の南防波堤に到着した。

ここは街灯があり、夜でも明るいので大変釣りがしやすいポイントである。

比較的基部に近い辺りにいる投げ釣り師たちを横目に先端を目指して進む。

「風が強い!」

適当な場所に荷物を置き、夕飯のメンチカツパンを齧りながらオズ氏は声を上げた。

半端ではない南風が吹き荒び、時折よろめくほどである。

オズ氏は半ばやけっぱちになって、10年以上前に100円ショップで買ったクランクを取り出した。それも1個100円ではなく、5個で100円。1個当たり20円という破格値だったものである。

このシリーズでは過去に一度、30センチもないミニアメマスを事故的に釣り上げたきり、目立った釣果がない。なにしろまったく沈まないので使い道がないのだ。

絶望的なほどに軽いクランクは、フルキャストと同時に遥か右方向へ流されていく。

一切の期待をせず、ちょこちょこと誘いながらリトリーブすると、驚いたことにひったくるようなアタリがあった。

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調子に乗ってキャストするとさらに1尾。しかも今度はややサイズアップ。ちょうどアクアパッツァサイズだったので持ち帰ることにした。

楽しいのだが、いかんせん風が強すぎて釣りにくい。しかも寒い。

アタリも遠のいたので場所を変えることにした。

風があまり当たらない場所へ移動し、ついでに仕掛けをブラーにイソメへと変更したのだが、まったく釣れる気配もない。

同行した叔父さんも魚を求めてどこか離れた場所へ行ってしまっている。

「じゃあまあ、ちょっと遊んでみますか」

と20円ハードルアーに交換したところこれがアタリ。たまたまじあいだったのかもしれないが、1キャスト1HITで釣れてくる。

10年前からそのままのフックのせいでバラしも多いが、それでも釣れる。今日はとても活性が高いのだろう。

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それにしてもハードルアーで魚を釣るのがこれほど楽しいとは思わなかった。

誘って食わせる。

ただそれだけのことなのだが、「釣れた」のではなく「釣った」という感覚が非常にうれしい。

すっかりハマってしまいそうだ。

最後においしかったアクアパッツァ(あさり抜き)の写真を一枚。

釣ったら食べねば!

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