'10/10/25 : 降水量 23 ml ~ 雨男沖縄へ行く 1/2

「俺だって負けたいよ! 」

 これを言ったのは大泉洋である。彼の所属する劇団チームナックスのリーダー

である森崎博之はかなりの晴れ男であるそうなのだが、その森崎博之と一緒に

いても、大事な時には大抵雨が降るらしい。挙句森崎博之の結婚式を土砂降りに

した直後のラジオでのひとコマである。

「あの男晴れ男だって言ってるけど、俺一回も負けたことない」

「そこは負けてくださいよ! 」

 自信満々に言ってのける大泉洋に、後輩のオクラホマがツッコミを入れた。そうして

生まれた名言が、

「俺だって負けたいよ! 」

 なのである。ボクにはこの気持ちが痛いほどわかる。なにを隠そう、と言いつつ

あまり隠していないので一部ではかなり有名な話だが、ボクも雨男なのである。

それも並みの雨男ではない。

「大丈夫、俺晴れ男だよ」

 そう言った人間は数多くいたが、その誰もが豪雨の前に崩れ落ちた。未だにボクを

凌ぐほどの実力を持った晴れ男には出会っていない。

「勘弁してくれよ」

 ボクの持つ負のパワーの前に崩れ去った彼らがそう口にするたび、ボクも冒頭の

一言を叫びたくなるのである。

 これまでにも行く先々で雨を降らしてきた実績を持つボクであるが、今回の沖縄

旅行でもじゃかすか雨を降らせてしまった。

 そのあたりを詳しく記す前に、なぜこんな時期にボクが沖縄に行ったのかを説明せ

ねばなるまい。前書きばかりが長くなっても読者諸氏を退屈させるばかりなので

(ボクの文章はいつも前書きばかりが長く、本題は大したことがないのだが)、

三行で説明しよう。

 祖父母が今年金婚式なので、

 両親が沖縄旅行をプレゼントしたら、

 オプションとして孫がついていた。

 以上である。うむ、実に簡潔。大変簡略。これぞ詐欺ではないエコである。

 ついでに言えばボクは今年まだ夏休みを取っておらず、大事な学会を終えた

この時期なら多少まとまって休めたという点もあった(あー、三行じゃなくなって

しまった)。

(ツヅク)