'10/11/11 : 降水量 28 ml ~ 嬉しいが不安な薄型テレビ 2/2

 ところでボクの記憶にある中で、今度のテレビは四台目にあたる。過去三台で本当に映らなく

なって買い換えたのは、二台目のナショナル製テレビだけ。あれは寝る直前までは平気だった

のに、朝起きてみると全く映らなくなっていた。

「ちょっとー! 起きて。テレビ壊れたあ! 」

 まだ六時過ぎだというのに母親に叩き起され、のそのそと居間へ這い出してみると、なるほど

確かにテレビが映らない。電源を入れればランプこそ赤から緑に変わるものの、画面は一向に

真っ暗なままである。とはいえボクはエスパーでもなければ電気屋でもないので、ボクが布団

から出たところでテレビが直るはずもない。だので、

「そうね。映らないね」

 なんて適当な相槌を打って二度寝を決め込もうとしたら、理不尽なことに特大の雷を

落とされた。

「どうすれっちゅうねん! 」

 あまりの理不尽ぶりに反論したいところだったが、そんなことをすれば火に油を注ぐ結果に

なるのは明らかだったので、甘んじて雷を受け、ボクは朝から消し炭になった。理不尽である。

 そんな中で一台だけどうしても忘れられないテレビがある。それは祖父母の家にあった

ブラウン管テレビなのだが、その壊れ方があまりにも衝撃的だったのだ。実はそのテレビは既に

半分壊れていて、テレビ番組を受信することはできなかった。ただ外部入力でゲームをする

ことはできたので、単純にモニターとして残されていたのである。あれはボクがまだ小学生だっ

た頃のこと。ボクは五つ下の従兄とゲームをしていた。たしかハードはニンテンドー六四で、

ソフトはスターフォックスであった。するとそれまで映っていた色鮮やかな画面が突如として

真っ黒に変わったのである。従兄と二人で顔を見合わせ、ちょっと揺さぶってみようと画面に

手を伸ばした瞬間、画面に稲光のような光がバリバリと走った。驚いて仰け反った直後、ボンッ!

という破裂音と共にテレビから白い煙が立ち上ったのである。もうもうと立ち上る煙と焦げた

ような臭いを前に、ボクらは這うようにして部屋から逃げ出した。そしてやっとのことで口から

出たのは、

「ちょっとー! テレビ壊れたあ! 」

 であった。人間、とっさの時のリアクションなんてこんなものなのかもしれない。

(オワリ)