11/04/25 : 降水量 46 ml ~ 中身は脳かメロンパンか

 三陸沖を震源とする大地震が起きてからひと月以上が経過して、報道も直後のような

過熱した状態ではなくなったようだ。けれどもネットでは斉藤和義が歌った替え歌が

拡散していたり、ニュースのコメントやtwitterには反原発の発言が溢れている。そういう

モノを見ていて、本当に心配になってきてしまった。これはボクが原発必要派だから、

というのとは関係ない。

 ひとつ具体例を挙げてみよう。

インドネシアやオーストラリアは原発一個も無しで発電中。あんな大きな中国で13機。

メキシコ2機。面積が一番少ない日本に54て多すぎだろ。」

 これはtwitterで実際にあった呟きである。同時に色分けされた世界地図が添付されていた。

ちょっと考えてみて欲しい。この発言にはボクがすぐに気付くものだけで間違いが三つ存在する。

① インドネシアとメキシコは産油国。オーストラリアは石炭が山ほど採れる資源の豊かな国

である。ちなみにメキシコは天然ガスも採れる。つまりアラブの機嫌一つで景気が左右され

たりはしない。

② 中国は現在も原発を増設する方針にある。

③ 比較すべきは国の面積ではなく電力の消費量だ。

 少なくとも①については中学校レベルの地理の知識があればすぐに気がつくはずだ。背景に

ある状況がまるで違うのに、飛びつきやすい国の面積と原発の数だけで結論を導いてしまう。

実際には利用可能な『自国の』資源の量、使用電力量、国民の生活水準、その他諸々の要因を

考慮して初めて多いかどうか判断できる。『比較』とは前提条件が限りなく等しくなければ

成り立たない。これがもし学会発表の場なら赤っ恥である。

 先の呟きは直後から転載され続けた。

「そうだ! そうだ! その通りだ!」

 と。ボクが一番問題だと思うのはここである。

 誤った発言をすることはそれほど問題ではない。誰だって間違うし、自分の書いたものは

後から見直しても間違いに気付きにくい。それはみんなテストの見直しなんかで経験がある

はずだ。ボクが憂慮するのはそれを拡散してしまったヒトたちである。一呼吸おけば誰しもが

持っている知識で間違いに気がつくのに、いかにももっともらしい数字に騙されて賛同して

しまう。これでは大衆はバカだから利用してしまえ、と思われても仕方がない。少しでいい。

どうして自分の頭で考えようとしないのか。考えなければ人間は葦と同じ。皆のその大きな

頭の中に詰まっているのはメロンパンではないはずだ。

 ボク自身大衆の一人として日本の未来が心配である。

 次回からはいつもの阿呆な日記に戻ります。

11/02/09 : 降水量 45 ml ~ 2月の読み物 ② 赤朽葉家の伝説

 今日も今日とて本のご紹介である。なんだかすっかり本の紹介ブログと化しているが、

他に書くこともあまりないのだから仕方がない。ボクがいかにして平日サボッているかを

書いたところで、怒られることはあっても褒められることはない。印税が入ってくる、と

いうのであればお叱りも甘んじて受けるが、ブログは一銭の利益も生まない。これでは

ボクの丸損である、そんなこんなで本を紹介してお茶を濁している次第である。どうか

ご容赦願いたい。

 さて、今日紹介するのは桜庭一樹著「赤朽葉家の伝説」である。「赤朽葉家の伝説」は

千里眼を持つ少女、万葉の生涯を中心にして描かれた家族小説である。舞台は地方都市

鳥取県の中でもさらに地方の小さな町。本来見えるはずもない遠くの出来事、果ては

未来に起こる出来事までを見通す千里眼を持つ万葉は、戦後、高度経済成長期、バブル、

そしてその崩壊から現代まで激動の時代を生き抜いた。万葉の両親、万葉、娘、孫と

世代が移るにつれて変わっていく考え方も良く描かれている。ちなみに本作は万葉を

祖母にもつ孫娘、瞳子の視点で描かれるのだが、彼女はボクらと同世代である。不思議な

力を持つ万葉と、彼女を取り囲む奇妙な人々。死の床についた万葉が最期に瞳子へ残した

衝撃の一言とはなにか。そして瞳子がたどり着いた真実とは。この辺りが見どころ、

もとい読みどころであるように思う。

 ところで本作は直木賞候補であった。ボクは自分が知る限り、今まで直木賞受賞作も

候補作も読んだことはなかった。実際に読んでみて一番印象に残ったのは、

直木賞の選考委員って存外頭やわらかいのね」(←大変失礼)

 ということである。「赤朽葉家の伝説」はこりこりに凝り固まった文学作品!という

タイプではない。どちらかというと日本語を崩し気味ですらある。直木賞のような大きな

賞で、こういう作品が候補になるのだなあと感心しきりであった。

11/02/07 : 降水量 44 ml ~ 2月の読み物 ①核心

 「1月の読み物②まとめ」がないじゃないか!

 と思ったあなたはこのブログのヘビーリーダーである。ヘビーリーダーではあるが、

そんな奇特な人はまずいないだろう。いたら正直驚きである。もちろん嬉しいけど。

 だいたい他人がひと月の間に読んだ本を列挙されても困るだろうし(今更気が付いた)、

なにより冊数も多くて面倒なので(こっちが本音だったりする)、これからは読んだ中から

気にいったもの、あるいは気にいらなかったものだけをピックアップして紹介したい。

 さて、そんなわけでまとめをすっ飛ばし、2月の読み物から1冊ご紹介。上下巻組なので

正確には2冊なのだが、細かいことは言いっこなし。パトリシア・コーンウェル著「核心」

のご紹介である。

 「核心」はコーンウェルが書き続けている「検屍官ケイ・スカーペッタ」シリーズの

最新作である。調べてみると第一作の「検屍官」が日本で翻訳・出版されたのが1992年だと

いうのだから、すでに20年近くも続いている計算になる。実に息の長いシリーズである。

 「検屍官」の時点でヒロインであるスカーペッタは40歳を過ぎていたように思うが、

現在でも彼女の年齢は40代半ば。姪のルーシーだけが小学生から年を取って20代中盤に

差し掛かっている。ずいぶんと時間の流れが歪んでしまっているが、長く続く作品では

仕方のないところなのだろう。

 「検屍官」シリーズ、という名前からもわかる通り、殺人が起こり、それを解決すると

いうのが基本的な筋立てになる。クライムシーン小説とでもいうのだろうか。ボクが思うに、

このシリーズは推理小説とは少し異なる。予め犯人が登場人物の中に含まれていて、最後に

それが明らかになるというわけではない(そういうケースもいくつかはあるが)。ある時点で

突然犯人が現れたりするので、謎解きがしたい人には不向きかも知れない。

 海外翻訳ものらしく文字がみっちりぎっちり詰まっているが、気が付けばあっという間に

半分。いっという間に一冊。うっという間に二冊と読んでしまえるのだから、間違いなく

魅力のある一冊と言える。

 興味があれば是非。

11/01/18 : 降水量 43 ml ~ 1月の読み物 ①ラッシュライフ

 本日は伊坂幸太郎の「ラッシュライフ」のご紹介である。

 毎度毎度のことながら、本を紹介すると言うのは難しい。中身に触れなくては紹介にならないが、

かといって触れすぎるとネタバレになってしまう。今回もネタバレにならないレベルで、かつ本の

面白さを少しでも伝えられれば幸いである。

 他の伊坂作品に違わず、「ラッシュライフ」もミステリーの色が濃い作品である。ただし一般的な

ミステリーとは異なり、本作の中には事件を謎解く刑事も、それに準ずる探偵も登場しない。複数の

登場人物と複数の物語があり、それが絶妙に絡んでいくのだが、当の本人たちにはその全容は見えて

いない。あくまでも事件の全容が見えているのは読者だけなのである。

 そしてもうひとつ、本作にはとある叙述トリックが含まれている。おそらく普通の読者であれば

物語の半分も読めば気がつくかもしれない。ちなみにボクが全体の三分の二ほど読むまで気がつかな

かった、というのは秘密である。死神の精度といい、ラッシュライフといい伊坂幸太郎

叙述トリックを使うのが上手い。ちなみにちなみにボクがどちらの叙述トリックに痺れたかといえば、

それは死神の精度のほうである。とはいえ本作も大変面白かったので、機会があればご一読を

オススメする次第である。

 余談になるが、ボクの中には三人の作家が立っている。日いずる西の方角に立つのが他ならぬ

原田宗典である。もともと幼少の頃から本に囲まれては育ったが、読書にどっぷりとハマったのが

この人のお陰であるのは間違いない。文章を書き始めたのも、この人のような文章を書きたい!

と思ったからで、原田宗典がいなければこの日記も存在し得なかったわけである。長らくボクの

中に一人ででんと立ち続けていた原田宗典であったが、ここ最近になって新たに二人の作家が

現れた。それが北の伊坂幸太郎であり、南の森見登美彦である。この三人がボクの中の三本柱で

あり、文章の根幹を成しているのだが、伊坂幸太郎森見登美彦はまさに対極と言っていい。

伊坂幸太郎の書く文章は無駄が無い。出てくる人物はもちろん、細かな事象が後々に複線となって

生きてくる。

「ああ! あれがこう絡んでくるのか」

 と膝を叩くことも多い。一方の森見登美彦は、語弊のある言い方かもしれないが無駄の多い

作家である。もちろん複線はあるが、本筋とは関係の無い部分の描写が多く行われたりする。

しかしそれこそが森見登美彦の魅力なのだ。それをそぎ落としてしまうと味気ない物語になって

しまう。そんなこんなで一見相容れない作家を交えた三人の書く文章が根幹となって、ボクの

文章は構成されているのである。

 本題と余談がほぼ半々になってしまったが、結局何が言いたかったかというと三人とも面白い

本を書いているから是非読んでね。これだけである。

(ふぁん)

'11/01/12 : 降水量 42 ml ~ 電力消費箱 2/2

(これは昨日の日記の続きです。まだの方はこちらから先にどうぞ)

 ソニータイマーが発動することもなく、九年間働いてきたコンポの調子がおかしくなり始めたのは、

去年の夏ごろであった。ボリュームには一切触っていないのに、勝手に音量が尻すぼみになっていって、

音が出なくなってしまうのである。これが数秒で回復することもあれば、一日直らないこともあった。

これはなかなかどうして致命的である。

 コンポの機嫌によっては音が出たり出なかったりします。

 そんなコンポ見たことも聞いたこともない。というか音が出ない時点で電力を消費するただの箱である。

それでもへそを曲げたコンポをなだめすかし、ご機嫌を伺いつつ騙し騙し付き合ってきたのだが、

いよいよ限界が訪れた。入れたCDが出てこなくなったのである。

「コンポは九年経つから諦めるが、CDは返してくれい!」

 と揺すってみたが一向に出てくる気配は無い。気分は道を踏み外した昔馴染みの襟元を掴み、頭を

ぶんぶん揺するアレである。ならば、とドライバーを持ち出し片っ端からネジを外し、なんとか

かんとかCDは取り出したのだが、元通り組み立て直してみると、なぜかネジが十本以上余ってしまっ

た。お約束である。結局はこれがトドメとなり、コンポは処分することになった。

 それが昨年末の話である。大掃除のついでに「さあ、捨てましょう」とカレンダーを確認した

ところ、年内の燃えないゴミの回収は全て終わってしまっていた。おかげでそれはボクの部屋の床に

転がされたまま年越しを迎えることになった。安物とはいえコンポという以上、本体とスピーカーで

構成されており、場所をとるったらない。寝ぼけて何度も足の小指をぶつけて悪態を吐いた年末年始

ではあったが、ぽっかりとスペースの空いた棚をみると、やはり少し寂しい。コンポよ、九年間

ありがとう。

(オワリ)

'11/01/11 : 降水量 41 ml ~ 電力消費箱 1/2

 今の中高生は信じられないかもしれないが、MDウォークマンが一世を風靡していた時代があった。

ちょうど今から十年ほど前だから、まさに一昔前ということになる。当時はソニー全盛期の頃でも

あって、クラスの大半はソニーウォークマンを持っていた(ん? ウォークマンは商標だから、

これは重複表現ということになるのか? )。ソニータイマーなんて揶揄されて、敬遠されることも

珍しく無い最近の事情からは考えられないことである。なかにはパソコンに詳しくて、MP3を

使っている奴もいたが少数であったと思う。ボクはといえばwindowsMacの違いもよく分かって

いないような阿呆高校生だったので、

「音楽プレーヤと言えばMDだもんね。ソニーだもんね。みんな持ってるもんね。もんねもんね」

 と馬鹿丸出しの判断でやはりソニーのMDウォークマンを愛用しているクチであった。ちなみに

ボクが買った頃はまだドットでカタカナしか表示されない小さな画面が主流で、音楽を取り込ん

だら一曲ずつちまちまとタイトルを入力していた。ネットに繋いでCDを入れれば、ジャケット

まで取り込まれてしまう今の音楽プレーヤーしか知らない子たちからすると信じられない手間

である。その前はテープのウォークマン時代があったのだが、遡るときりが無いのでそれは

またの機会に。

 さて、MDウォークマンで音楽を聴くためにはMDに録音しなくてはならない。当然である。

ウォークマンにも録音が出来るものがあったのだが、ボクが持っていたのは再生専用であった。

そこで必要になってくるのがMDコンポである。それほど高価な物ではなかったが、これもソニー

のコンポで、CDが三枚入ることを売りにしている商品であった。いまやボクもiPodを使っていて、

MDウォークマンは抽斗の肥やしとなっているが、コンポだけは現役で活躍していた。抽斗の

肥やしという言葉はないけれど、家電を箪笥にはしまわないのだから仕方がない。

(続く)

'11/01/01 : 降水量 40 ml ~ 新年のご挨拶

2011年賀

新年明けましておめでとうございます。

昨年は本当に「あっ」という間に過ぎてしまいました。

卒論提出、就職活動とやらなくてはならないことが目白押しの本年。

同じくあっという間に過ぎてしまうなら、全力で駆け抜けてやろうと思います。

最後になりましたが抱負を一つだけ。

「この先四十年以内に文壇デビュー!」

それでは、本年が皆様にとって充実した一年でありますように。